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title: 社外勉強会への参加は個人のキャリア戦略だけでなく組織が取り組まなければならない課題でもある
slug: e030fe9ff885
created_time: 2024-03-08T03:15:00.000Z
last_edited_time: 2025-06-11T08:40:00.000Z
category: Idea
tags:
  - 雑記
  - 経営学習論
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locale: ja
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[中原淳『経営学習論』](https://www.utp.or.jp/book/b553616.html)における「越境学習」の重要性についての記述を引用する。

https://www.utp.or.jp/book/b553616.html

## 引用

> 第7章 越境学習
> 7.2 越境学習の深層に存在する主要な社会的ニーズ
>
> 一般的に人は同じ組織のなかに長くいると、「**過剰適応の罠**」 や 「**能動的惰性**」 にとらわれる可能性が高くなるといわれている。ここで 「**過剰適応**」とは、組織に人が過剰に適応しだすことによるデメリットである (Chao 1988)。また、**能動的惰性**とは 過去の成功体験にしがみつき、それを永遠に繰り返そうとする個人の状態をさす(松尾2011)。
>
> 第3章で論じたような組織社会化の諸力の影響が強ければ強いほど、個人は組織に慣れていく一方で、 ともすれば組織に**過剰適応**を果たす。自己の組織の特殊性,ステレオタイプ、特有の思考形式を獲得し、 次第に無自覚になり、「**文化的無自覚性**」の境地に至る。それが進行しだすと、今度は「**能動的惰性**」 を獲得する。かくして、創造的な仕事を行おうとする個人,自らのキャリアや能力開発に意識的な個人は次第に減っていく。**能動的惰性**を獲得してしまった個人が増えることによって組織は次第に**硬直化**し、 イノベーションを生み出す素地が失われる。
>
> そして、こうした日常の慣性に束縛された地平にこそ越境学習の可能性がある。越境学習の深層に横たわる主要なニーズのひとつは、「過剰適応」「能動的惰性」「文化的無自覚性」に自ら 「裂け目」を入れることである。すなわち、「過剰適応」「能動的惰性」「文化的無自覚性」 を獲得してしまった個人が組織外にいったん出て、異質な他者・事象に出会うことで日常に「異化」 をもたらし、新規な事柄,日常生活では思考しない内容に思索をめぐらすきっかけを得ることである。Dreier (1999) によれば、「特定の文脈における十全的参加がもたらす文化的無自覚は、他の文脈への参加と比較、内省によって解消される」という。**組織を出て、他の文脈へ参加し内省を行う機会**が越境学習に他ならない。

（太字は引用者による）

## 要点

人は同じ組織に長くいると、その組織特有の文化に適応しすぎてしまい、そしてそれに無自覚になる。さらに、その組織でのいままでのやり方でうまくいったやり方を繰り返すことに執着するようになる。これが中原のいう「過剰適応」「文化的無自覚性」「能動的惰性」である。このような個人が組織の中に増えることは、組織全体が硬直していき、**組織全体が「能動的惰性」に向かっていく**。

組織を越えた場での学習の機会「越境学習」は、この慣性による束縛を解消する力がある。過剰に適応してしまった**文化の外にいる人との出会い・交流**により、自分の組織の文化を意識する機会を得られる。その内省によって、組織の硬直化した「あたりまえ」になっている部分に疑いを持ち、変革を生むきっかけになる。

エンジニアの文脈に落とすと、社外の勉強会に参加するということはよく個人のキャリアで有利だとかスキルアップにつながるとか、個人主義的な文脈での利点が語られがちだが、『経営学習論』からはむしろ**組織の側の課題を解決するため**に必要なことであることがわかる。組織が硬直し、その状態に最適化しすぎて変革が起きにくくなっていくことへの対策として、**所属するメンバーが外部の文化に触れる機会**が重要になる。

個人からすれば「自分のキャリアに関係あるか」とか「業務の役にたつか」とか、そういう利己的な点が動機になりやすいが、**組織からすれば単にメンバーが外を見て感じたことを持ち帰ってくるだけでありがたい**ということは伝えておきたい。この観点ではオンラインもオフラインも関係ない。なんならリアルタイムじゃなくてもアーカイブ動画から感じることもできる。組織の外にいる人たちとの文化の違いを実感さえできれば、「文化的無自覚性」から脱することができる。